第102回定時株主総会に対する事前質問のご報告

創業家代理人弁護士の鶴間が、本日、出光興産の代理人弁護士を通じて、出光興産に対し、下記の事項につき、今月29日に予定されている出光興産の第102回定時株主総会において創業家側が予定している質問事項として、事前に通知しましたので、本サイトでも公表させて頂きます。

1 昭和シェル石油との経営統合関連

(1) 昭和シェル石油の太陽電池事業

昭和シェル石油の太陽光を中心としたエネルギーソリューション事業は、昨期に107億円の減損損失を計上し、91億円の営業赤字となったが、本年3月までの第一四半期には、売上高が前年同期比で41.3%減収となった結果、今期は最初の四半期だけで既に30億円の営業赤字となっており、昨期の減損処理によって赤字の打ち止めとなっていない。
国内の石油業界の先行きを懸念してM&Aによる積極展開が必要と考えるのなら、このように事業の多角化に失敗している会社と一緒になるべきではないのではないか。

(2) サウジアラムコとの関係

サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは、昭和シェル石油の株式15%を保有し、仮に出光興産と昭和シェルが経営統合を行なった場合もこれまで通り株式を保有し続けるようである。
アラムコは、1991年以降、韓国の民間石油会社Sオイルに34.99%出資していたが、2014年7月に韓進グループより株式を追加取得し、現在は63.99%を出資するSオイルの筆頭株主としてサウジアラビア人CEO(社長)を送り込んでいる。現在、Sオイルが輸入する原油はサウジアラビア産のみである。
出光佐三店主が、国際石油資本(セブンシスターズ)による市場の支配を打破し、消費者がより良い条件で石油を入手できるようにしたいという思いと国際石油資本に依存せず石油を安定供給しなければならないという思いから、出光興産を民族資本の会社として守ってきた理念は、経営陣・社員・販売店が一体で事業を行い、消費者の皆様から信頼と支持を得てきた出光の大きな強みである。しかし、新セブンシスターズの一番手であるサウジアラムコの資本を受け入れることは、その理念を否定するものと考える。アラムコが将来、統合会社での出資比率を高めて、サウジアラビア人CEOを送り込み、サウジアラビア産原油の購入比率を高めることを要求してくることは容易に想像できる。
そこで、統合後の新会社には、サウジアラムコから役員を受け入れる予定か、明らかにされたい。

(3) 経営統合によるシナジーについて

経営統合によって5年以内に500億円のシナジーを達成することを目指すとしているが、5月9日に公表された昭和シェルとの事業提携によって3年以内に250億円のシナジー創出を目指すとしている。具体的な期間及び金額まで挙げている以上は、予期されたシナジーを達成することができなかった場合又は達成することができないことが見込まれる場合には、事業提携を解消し、経営統合も撤回すべきことは、当然である。実際にそのような効果を上げているか否かについては、途中経過も含め、検証を行い、公表すると理解している。
以上を前提として、事業提携による250億円以外の残る250億円については、どのように達成するつもりなのか、具体的な積算根拠を明らかにされたい。なお、積算根拠を明らかにする上では、経営統合によるコスト削減効果として安易に見積もることができる人員削減及びサービスステーションの統廃合による効果が含まれているのか否か、また、製油所の統廃合による効果が含まれているのか否か、それぞれ明らかになる形で行われたい。

(4) 経営統合のために要した費用

昭和シェル石油株式の取得及び昭和シェル石油との経営統合のために貴社が支払った費用は、同株式の取得のための借入れに関して支払った利息、株式取得に要した手数料、各種専門家やコンサルタントの費用等、多額に上っていると思われる。また、それのみならず、昭和シェル石油との合併が当初公表された計画から遅延することにより、予定していた新社屋に関する契約に基づき支払った敷金、保証金、賃料並びにこれの解約に伴う違約金及び原状回復費用も無駄となっており、株式取得資金に関する融資の借換えないし借入条件の変更に伴う支払利息や、各種専門家やコンサルタント費用も著しく増大していると思われる。
そこで、昭和シェル石油との経営統合のために貴社が支払った費用及び合併が当初計画から遅延することにより発生した費用、並びにこれらの具体的内訳について明らかにされたい。

2 海外事業における損失

(1) これまでの海外投資に関する責任の所在

北海油田に関しては、多額の損失が既に発生しているようであるが、今後、廃坑するとなれば、さらに多額の費用を要するはずである。北海油田の権益を取得し、ここまで維持し続けた投資判断の誤りについて、経営陣には、明らかに責任がある。また、カナダLNG事業については、平成28年3月期有価証券報告書に、「カナダのアルタガス社(AltaGas Ltd.)と共同出資で設立したAltaGas Idemitsu Joint Venture Limited Partnershipによる北米のLNG(液化天然ガス)のアジア向け輸出の事業化については当面実施を見合わせることとなりました。」との記載がある上、出光興産内のガス事業室も解体されたようである。このような状況にある以上、減損処理を行うべき状況にあると思われるが、現時点で減損処理を行ったとの情報は公表されていない。
いったい、計上済・未計上の損失をあわせて、北海油田及びカナダLNG事業につきどれだけの損失が累計で見込まれているのか、明らかにされたい。なお、累計の損失を明らかにする上では、計上済と未計上の別及び北海油田の廃坑のため今後かかると予想される費用を明らかにして行われたい。

(2) ベトナムニソン製油所関係①

ベトナムのニソン製油所プロジェクトについては、総投資額90億ドルのうち、出光興産が約14億ドルという巨額の投資を行っているとされるため、その失敗によるリスクも大きくなることが懸念されるところ、既に運転開始が遅れることが報じられている。平成28年3月期有価証券報告書によれば、ベトナムのニソン製油所プロジェクトについて、出光興産グループは銀行団に対し建設完工までの債務保証を行っており、計画どおりに建設工事が完了しない場合、又は建設工事の完了後に設備が一定の条件で稼働することができない場合には、保証の実行により出光興産グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があるとされている。
既に少なくとも半年程度運転開始が遅れるということであるにも拘わらず、業績に影響がないというが、それはなぜか。今後さらに半年程度を越えて運転開始が遅れる見込みの有無とともに明らかにされたい。

(3) ベトナムニソン製油所関係②

ベトナムの製油所建設に関し、4月積みのクウェート原油価格と原油タンカー運賃の市況、ベトナムでの国内石油製品市況を前提とした場合のリファイナリーマージンはいくらになる見込みか、投資回収にどの程度の期間がかかることを見込んでいるのか。リファイナリーマージンに関する各種データ、ベトナム国内の石油の長期需要見通し及び電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)の普及見込みとともに明らかにされたい。

3 労働問題

今年6月12日、北海道製油所で定期補修工事を請け負った協力会社の社員の方が亡くなったという報道があったが、労務管理が適切になされているかについて質問する。
出光全体では、2014年度から16年度までの3年間に何名の現役社員が亡くなり、それぞれの死因ならびに原因は何か、明らかにされたい。特に、北海道製油所では、この1年間で少なくとも2名の現役社員の自殺があったと聞いているが、重要な問題であるので、これが事実かどうか明らかにする形で回答されたい。

4 相談役制度

中野相談役は会長と相談役を通算で4年、天坊相談役は会長と相談役を通算で8年という長い期間務めているが、現在でも、これらの相談役に極めて高額の報酬をはじめとする破格な待遇を与えていると聞いている。
それら2人の相談役は、それぞれ週に何度出勤し、どのような業務を行っており、その報酬につき、どのような根拠で算定して、いくらを支払っているのか。業務内容に照らし、待遇が適正と考えているのか、及び、報酬以外の待遇とともに、明らかにされたい。