月別アーカイブ: 2017年6月

第102回定時株主総会に対する事前質問のご報告

創業家代理人弁護士の鶴間が、本日、出光興産の代理人弁護士を通じて、出光興産に対し、下記の事項につき、今月29日に予定されている出光興産の第102回定時株主総会において創業家側が予定している質問事項として、事前に通知しましたので、本サイトでも公表させて頂きます。

1 昭和シェル石油との経営統合関連

(1) 昭和シェル石油の太陽電池事業

昭和シェル石油の太陽光を中心としたエネルギーソリューション事業は、昨期に107億円の減損損失を計上し、91億円の営業赤字となったが、本年3月までの第一四半期には、売上高が前年同期比で41.3%減収となった結果、今期は最初の四半期だけで既に30億円の営業赤字となっており、昨期の減損処理によって赤字の打ち止めとなっていない。
国内の石油業界の先行きを懸念してM&Aによる積極展開が必要と考えるのなら、このように事業の多角化に失敗している会社と一緒になるべきではないのではないか。

(2) サウジアラムコとの関係

サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは、昭和シェル石油の株式15%を保有し、仮に出光興産と昭和シェルが経営統合を行なった場合もこれまで通り株式を保有し続けるようである。
アラムコは、1991年以降、韓国の民間石油会社Sオイルに34.99%出資していたが、2014年7月に韓進グループより株式を追加取得し、現在は63.99%を出資するSオイルの筆頭株主としてサウジアラビア人CEO(社長)を送り込んでいる。現在、Sオイルが輸入する原油はサウジアラビア産のみである。
出光佐三店主が、国際石油資本(セブンシスターズ)による市場の支配を打破し、消費者がより良い条件で石油を入手できるようにしたいという思いと国際石油資本に依存せず石油を安定供給しなければならないという思いから、出光興産を民族資本の会社として守ってきた理念は、経営陣・社員・販売店が一体で事業を行い、消費者の皆様から信頼と支持を得てきた出光の大きな強みである。しかし、新セブンシスターズの一番手であるサウジアラムコの資本を受け入れることは、その理念を否定するものと考える。アラムコが将来、統合会社での出資比率を高めて、サウジアラビア人CEOを送り込み、サウジアラビア産原油の購入比率を高めることを要求してくることは容易に想像できる。
そこで、統合後の新会社には、サウジアラムコから役員を受け入れる予定か、明らかにされたい。

(3) 経営統合によるシナジーについて

経営統合によって5年以内に500億円のシナジーを達成することを目指すとしているが、5月9日に公表された昭和シェルとの事業提携によって3年以内に250億円のシナジー創出を目指すとしている。具体的な期間及び金額まで挙げている以上は、予期されたシナジーを達成することができなかった場合又は達成することができないことが見込まれる場合には、事業提携を解消し、経営統合も撤回すべきことは、当然である。実際にそのような効果を上げているか否かについては、途中経過も含め、検証を行い、公表すると理解している。
以上を前提として、事業提携による250億円以外の残る250億円については、どのように達成するつもりなのか、具体的な積算根拠を明らかにされたい。なお、積算根拠を明らかにする上では、経営統合によるコスト削減効果として安易に見積もることができる人員削減及びサービスステーションの統廃合による効果が含まれているのか否か、また、製油所の統廃合による効果が含まれているのか否か、それぞれ明らかになる形で行われたい。

(4) 経営統合のために要した費用

昭和シェル石油株式の取得及び昭和シェル石油との経営統合のために貴社が支払った費用は、同株式の取得のための借入れに関して支払った利息、株式取得に要した手数料、各種専門家やコンサルタントの費用等、多額に上っていると思われる。また、それのみならず、昭和シェル石油との合併が当初公表された計画から遅延することにより、予定していた新社屋に関する契約に基づき支払った敷金、保証金、賃料並びにこれの解約に伴う違約金及び原状回復費用も無駄となっており、株式取得資金に関する融資の借換えないし借入条件の変更に伴う支払利息や、各種専門家やコンサルタント費用も著しく増大していると思われる。
そこで、昭和シェル石油との経営統合のために貴社が支払った費用及び合併が当初計画から遅延することにより発生した費用、並びにこれらの具体的内訳について明らかにされたい。

2 海外事業における損失

(1) これまでの海外投資に関する責任の所在

北海油田に関しては、多額の損失が既に発生しているようであるが、今後、廃坑するとなれば、さらに多額の費用を要するはずである。北海油田の権益を取得し、ここまで維持し続けた投資判断の誤りについて、経営陣には、明らかに責任がある。また、カナダLNG事業については、平成28年3月期有価証券報告書に、「カナダのアルタガス社(AltaGas Ltd.)と共同出資で設立したAltaGas Idemitsu Joint Venture Limited Partnershipによる北米のLNG(液化天然ガス)のアジア向け輸出の事業化については当面実施を見合わせることとなりました。」との記載がある上、出光興産内のガス事業室も解体されたようである。このような状況にある以上、減損処理を行うべき状況にあると思われるが、現時点で減損処理を行ったとの情報は公表されていない。
いったい、計上済・未計上の損失をあわせて、北海油田及びカナダLNG事業につきどれだけの損失が累計で見込まれているのか、明らかにされたい。なお、累計の損失を明らかにする上では、計上済と未計上の別及び北海油田の廃坑のため今後かかると予想される費用を明らかにして行われたい。

(2) ベトナムニソン製油所関係①

ベトナムのニソン製油所プロジェクトについては、総投資額90億ドルのうち、出光興産が約14億ドルという巨額の投資を行っているとされるため、その失敗によるリスクも大きくなることが懸念されるところ、既に運転開始が遅れることが報じられている。平成28年3月期有価証券報告書によれば、ベトナムのニソン製油所プロジェクトについて、出光興産グループは銀行団に対し建設完工までの債務保証を行っており、計画どおりに建設工事が完了しない場合、又は建設工事の完了後に設備が一定の条件で稼働することができない場合には、保証の実行により出光興産グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があるとされている。
既に少なくとも半年程度運転開始が遅れるということであるにも拘わらず、業績に影響がないというが、それはなぜか。今後さらに半年程度を越えて運転開始が遅れる見込みの有無とともに明らかにされたい。

(3) ベトナムニソン製油所関係②

ベトナムの製油所建設に関し、4月積みのクウェート原油価格と原油タンカー運賃の市況、ベトナムでの国内石油製品市況を前提とした場合のリファイナリーマージンはいくらになる見込みか、投資回収にどの程度の期間がかかることを見込んでいるのか。リファイナリーマージンに関する各種データ、ベトナム国内の石油の長期需要見通し及び電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)の普及見込みとともに明らかにされたい。

3 労働問題

今年6月12日、北海道製油所で定期補修工事を請け負った協力会社の社員の方が亡くなったという報道があったが、労務管理が適切になされているかについて質問する。
出光全体では、2014年度から16年度までの3年間に何名の現役社員が亡くなり、それぞれの死因ならびに原因は何か、明らかにされたい。特に、北海道製油所では、この1年間で少なくとも2名の現役社員の自殺があったと聞いているが、重要な問題であるので、これが事実かどうか明らかにする形で回答されたい。

4 相談役制度

中野相談役は会長と相談役を通算で4年、天坊相談役は会長と相談役を通算で8年という長い期間務めているが、現在でも、これらの相談役に極めて高額の報酬をはじめとする破格な待遇を与えていると聞いている。
それら2人の相談役は、それぞれ週に何度出勤し、どのような業務を行っており、その報酬につき、どのような根拠で算定して、いくらを支払っているのか。業務内容に照らし、待遇が適正と考えているのか、及び、報酬以外の待遇とともに、明らかにされたい。

会社側代理人との面談のご報告

6月21日に、創業家代理人弁護士の鶴間が、6月29日の出光興産定時株主総会に関して、会社側代理人弁護士と面談しましたので、ご報告致します。
今後とも出光の理念を守り後世に引き継ぐための活動に、ご理解・ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。

出光昭介手記(週刊現代6月24日号掲載)

※以下は、週刊現代6月24日号に寄稿した出光昭介の手記ですが、週刊現代編集部のご承諾を頂いて転載させて頂くものです。週刊現代のサイトはこちら

 出光興産と昭和シェル石油との経営統合をめぐってお騒がせしておりますことについて、まずは心よりお詫び申し上げます。
 私としては、この経営統合には反対であり、その気持ちが変わることはありません。経営統合に反対する理由については、これまで、私の代理人の鶴間弁護士から様々な形ですでに説明してもらっておりますが、今回、このような機会を頂きましたので、改めて、これまでの経緯を振り返るとともに、私なりの言葉で、なぜ経営統合に反対しているのかということについて、述べることとしたいと思います。

 私の父の出光佐三は、戦後、日本の石油元売各社が、国際石油資本の傘下に入る中、出光興産が民族資本の石油元売会社であることにこだわり続けました。そのために、筆舌に尽くしがたい多くの苦難があり、事業存続の危機を迎えたこともありましたが、社員・販売店と一体となってこれを乗り越えてきました。
 父が、出光興産が民族資本の会社であることにこだわったのは、国際石油資本による市場の支配を打破し、消費者が、よりよい条件で石油を入手することができるようにしたいという思いとともに、国家のエネルギー政策上も、国際石油資本に依存せずに石油を供給することができるようにしなければならないという思いがあったからです。父は、自社の利益だけではなく、常に、消費者や国家のことを考えて事業を行ってきました。そして、父は、何があっても、この理念を変えることはしませんでした。出光興産はこのような父の理念を受け継いで、これまで事業を営んできたわけです。父の理念は、「人間尊重」「独立自治」「消費者本位」といった様々な言葉で受け継がれ、今もなお、出光興産の理念として生き続けています。
 私は、この出光興産の理念を守り続けなければならないという強い思いを持っております。しかし、誤解をしていただきたくないのは、決して理念を守ることだけを目的として、経営統合に反対しているわけではありません。出光興産は、その理念こそが強みであります。出光興産がここまで成長することができたのは、経営陣・社員・販売店が理念を共有し、一体となって事業を行うことができたからです。そして、出光興産の理念に社会から共感、評価を得られたことが、消費者の皆様からの出光興産の支持につながっていると考えています。これを失ってしまっては、出光興産が社会から評価される会社であり続けることは難しく、他の会社との差別化を図ることもできないと考えるわけです。今般、石油市場の縮小への対応が、経営統合の理由とされているようですが、だからといって、出光興産が理念を捨て、自己否定をしてしまうと、取り返しのつかない損失が発生すると考える次第です。

 昭和シェル石油との件について、私が最初に話を聞いたのは、平成27年の夏のことでした。そのときは、昭和シェル石油を飲み込む合併という話でしたので、とりあえず様子を見ましょうということを申し上げました。そして、その後特に話がなかったのですが、突然、同年11月に出光興産と昭和シェル石油が対等の精神で経営統合をすることになったと知り、大変驚きました。会社側は、経営統合を一旦了承していた私が、途中で心変わりをして反対し始めたかのような説明をしているようですが、それはまったく事実に反しています。
 経営統合の話を聞いて、私はすぐに、月岡社長に、経営統合に反対であるという書簡を送ったのですが、実際に月岡社長と面談するまでには、かなりの時間を要しました。その後も、月岡社長以下の経営陣が、私たち創業家の経営統合への反対の意見に対して、真摯に向き合っていたとは思えません。経営統合が決まるまでに、私たち創業家の話をしっかりと聞いてもらう機会があれば、このような大事にはならなかっただろうと思いますので、そのことが残念でなりません。

 私が昭和シェル石油との経営統合に反対する理由は、鶴間弁護士から会社に伝えてもらっているように、大きく3つあります。
 第一に、出光興産と昭和シェル石油の体質・社風の違いです。民族資本の会社として独自の理念を大事にして事業を行ってきた出光興産と、国際石油資本の一つであるシェルの傘下で事業を行ってきた昭和シェル石油は、その体質や社風が大きく異なっており、両社を融和させるのには非常に大きなエネルギーを要します。そのことを考えると、経営統合をしたとしても、実際に成果を上げることは極めて困難です。また、経営統合によって実際に出光興産にメリットがあるのか不明ですから、経営統合にエネルギーを割くのではなく、出光興産がその理念を守り続ける形での事業を模索すべきです。
 第二に、経営統合によってサウジアラムコからの出資を受けることになる点です。石油利権を握る国際石油資本と一線を画してきた出光興産の歴史的意義を没却することになります。このことは、先に述べたような出光興産の強みを失わせるものであって、大きな損失をもたらすものと考えます。
 第三に、経営統合は生産者間の競争を減らすために行われるものであると考えられます。出光興産は、これまで消費者本位、すなわち、消費者の利益を第一に考えて事業を行い、また、事業を通じて社会に貢献することを目指してきたはずです。そうであるにもかかわらず、自社の利益を守るために、生産者間の競争を減らし、石油製品の価格を高止まりさせようとしているのは、大変残念ですし、消費者の理解を得られるものではないはずです。

 昭和シェル石油との経営統合が、出光興産の追い求めるべきものに反していることは、すでに述べたとおりですが、そのことを鶴間弁護士の前任者の時から再三会社に伝えてきたにもかかわらず、月岡社長以下の経営陣は、経営統合を行う考えを改めようとしてくれません。主要な株主が経営統合への反対を表明しており、経営統合に必要と思われる合併の承認を得られる見込みがないにもかかわらず、そのように経営統合に固執するのは、経営者として理解できません。
 月岡社長以下の経営陣がそのように経営統合に固執するのは、経営統合のため、市場価格を大幅に上回る価格で昭和シェル石油株式31・3%を取得してしまったからではないかと推測しています。
 確かに、いまさら昭和シェル石油との経営統合を止めれば、その取得した昭和シェル石油株式について、損失を出さずに処分するのは困難でしょうし、処分せずにそのまま塩漬けにするのは、会社資金に係る明らかな機会損失です。しかし、昭和シェル石油株式の取得費用は、すでに支払ってしまったものであり、それに囚われて、将来に向けてなすべき選択を誤るべきではありません。経営者は、「過ちを改むるに憚ることなかれ」でなければならないのです。月岡社長以下の経営陣が、もし昭和シェル石油株式につき責任を負うのを恐れて、経営統合を撤回できないのであるとすれば、経営者として明らかに失格です。

 6月29日に出光興産の定時株主総会が開催される予定です。先日、鶴間弁護士が記者会見で説明しましたとおり、私たち創業家は、月岡社長以下、5名の取締役候補の選任に反対することといたしました。私は、月岡社長ともかつて共に働いた関係にありますから、できる限り円満に解決したいという気持ちを持っており、そのように代理人にも伝えていましたので、今回、このような形をとらざるを得なくなったことは決して本意ではありません。
 しかし、私としましては、社員、販売店、株主の皆様にご迷惑をかけている状況が続くことを避けなければなりません。できるだけ円満な形で、話し合いによって出光興産と昭和シェル石油との経営統合を断念してもらえないかと模索してきましたが、現経営陣の考えには変化がないようですので、出光興産が速やかに新たなる途に進むべきであるという私の思いをより明確に伝える必要があると考えました。また、それ以外にも、海外事業の失敗が重なるなど、このまま現経営陣に出光興産の経営を委ねるわけにはいきません。そこで、今回、定時株主総会で取締役候補の一部の選任に反対することとした次第です。

 以上、私の考えを述べさせていただきましたが、一刻も早い事態の収束を願っております。皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

会社側代理人との面談のご報告

6月14日に、創業家代理人弁護士の鶴間が、6月29日の出光興産定時株主総会に関して、会社側代理人弁護士と面談しましたので、ご報告致します。今後も、定時株主総会について、会社側代理人弁護士との面談を行うことを予定しておりますが、その都度、ご報告する予定です。
今後とも出光の理念を守り後世に引き継ぐための活動に、ご理解・ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。

定時株主総会における創業家の議決権行使方針について

はじめに

来る6月29日に、出光興産株式会社の定時株主総会が予定されており、先日、その招集通知等が出光興産ウェブサイトにおいて公開されました。
これまで、創業家は、出光興産経営陣に対して、昭和シェル石油との経営統合を速やかに断念することを求めてきましたが、遺憾ながら、本日に至ってもなお、経営統合の実現を目指す経営陣の姿勢に変化が見られません。現在の経営陣はその職責を果たしていないと断じざるを得ず、創業家は、取締役選任議案のうち、月岡隆現社長、関大輔現副社長、丹生谷晋現取締役、本間潔現執行役員国際需給部長及び橘川武郎氏の5名の選任議案に反対することを決めましたので、ご報告いたします。
以下、その理由をご説明いたします。

取締役候補者5名の選任に反対する理由

1 経営統合に関する経営判断の誤り

月岡現社長、関現副社長、丹生谷現取締役及び本間現執行役員国際需給部長の4名(以下「現主要経営陣4名」といいます)は、昭和シェル石油との経営統合において中心的な役割を担ってきました。経営統合に関しては、現主要経営陣4名には、以下のような問題があります。

まず、経営統合そのものについては、これからあげるような点で、必要性や合理性が乏しいと考えています。
第一に、国内燃料油需要の先細りを理由として、生産者間の競争を減らすだけのために同業者と経営統合することは、「消費者本位」の理念に反しており、そのような経営統合は行うべきではありません。
第二に、昭和シェル石油との経営統合は、石油事業に関しても経営陣が主張するようなシナジー効果を発揮するか疑問があり、また、昭和シェル石油は海外展開が遅れ、石油元売り以外の事業展開にも成功していません。したがって、仮にどこかと経営統合を行うとしても、昭和シェル石油は、経営統合の相手としてふさわしくありません。
第三に、現在の出光興産の時価総額が昭和シェル石油の時価総額の約1.5倍であり、また、昭和シェル石油は石油事業以外に将来有望な事業を有しているわけではないことからすれば、仮に昭和シェル石油と経営統合するとしても、「対等の精神」で行うというのは、出光興産及びその株主の利益を無視しているという問題があります。

そして、以上申し上げたような昭和シェル石油との経営統合案に関する問題について、創業家は昨年来主張し、さらに、経営陣がさらなる説明を行えば創業家は翻意するとの誤った期待を抱かせないよう、本年3月からは、直接経営陣に宛てた申入れ及びメディアを通じた世間への説明を通じ、創業家の経営統合に反対する固い意思を明らかにし、それを受けて経営陣がなすべきことは、経営統合を速やかに断念し、経営統合に代わる経営戦略を策定することであることを再三説明してきました。それにも拘わらず、経営陣は、実現可能性のない経営統合に固執し、代替する経営戦略の策定を怠り、それにより会社に損害を与えています。その責任は、特に経営統合において中心的な役割を担ってきた現主要経営陣4名にあります。

次に、現主要経営陣4名には、経営統合に係る判断に当たって、出光興産との間に利益相反があるという点を指摘したいと思います。昭和シェル石油株式31.3%を多額のプレミアムを上乗せした価額で取得したことに係る費用は、サンク・コスト(ないし埋没費用)であって、昭和シェル石油との経営統合を行うべきか否かという、これからの判断において、考慮すべきものではありません。
サンク・コストないし埋没費用といわれる費用を投じた人間は、一般的に、そのような費用を投じて行おうとしたことにつき、既に投じた費用がもったいないと思い、途中で断念できなくなる傾向があるとされています。ましてや、組織の中でそのような費用を投じて行うプロジェクト等の決定に関与した者は、仮にかかるプロジェクト等を断念することになり、その費用が無駄になるとすれば、その責任を追及されかねないので、そのような事態に至ることを避けるべく、無理に当該プロジェクト等を遂行する危険があります。
現主要経営陣4名は、経営統合のため、多額のプレミアムを上乗せした価額による昭和シェル石油株式31.3%の取得を主導したことから、それに係る責任を回避すべく、無理に経営統合を進める可能性があります。このように無理に経営統合を進めることにつき、現主要経営陣4名には、責任回避という私的な利益があることから、彼らが経営統合に係る判断に関与し続けることについては、出光興産との間に利益相反があるわけです。かかる利益相反の状況は、たとえ現主要経営陣4名が責任回避など意図していないと主張したとしても、彼らの判断の適正さに疑念を抱かせるものです。

また、経営統合の見込みがないのに、新社屋の賃貸借契約を締結したところ、結局、解約したために、高額の違約金が発生したと聞いていますが、これは既に損失として確定しているものであって、これについては明らかに現主要経営陣4名に責任があります。
関副社長及び丹生谷取締役は、昨年8月15日の記者会見において、名誉会長が昭和シェル石油との経営統合を了承していたとの事実に反する説明をしたのみならず、名誉会長が送付した書簡の内容を創業家側に無断で公表しました。創業家側の了承を得ないままに経営統合に踏み出してしまった自らの責任を、虚偽の説明によって創業家側に転嫁する両名の態度は、到底容認し得ないものです。

2 経営統合以外の経営判断の誤り

現主要経営陣4名には、経営統合以外に関する経営判断においても、問題があると考えています。

まず、これまでに明らかになっている海外事業の失敗を指摘したいと思います。ベトナムのニソン製油所のプロジェクト開始の遅れ、カナダLNGの事業化断念、北海油田の投資失敗について、現経営陣は責任をとるべき立場にあると考えています。皆様ご承知のとおり、近時、海外事業による巨額の損失が企業の経営危機につながる事例がありますが、このまま現経営陣に経営を委ねていては、出光興産が同じ途をたどるのではないかということも危惧されます。

また、相談役制度については、天坊相談役・中野相談役の意向を踏まえて経営の意思決定を行っており、ガバナンスが欠如している上に、これらの相談役に極めて高額の報酬をはじめとする破格の待遇を与えており、会社に損害を与えています。代表取締役である月岡社長、関副社長の責任は重いと考えております。

3 本年度の業績は経営陣の力量と評価することができないこと

なお、前年度の業績に比して、本年度の業績が好調であるのは、石油価格の上昇と円高が主たる要因であり、決して経営陣の力量によるものではありません。在庫影響を除いた営業利益は前年度を下回っています。
また、上記した海外事業の失敗が本年度の業績に適切に反映されていないように思われます。明らかに発生することが見込まれる損失の反映を意図的に遅らせているのではないかとの疑問を持っていることを申し上げます。

4 橘川武郎氏が社外取締役として不適格であること

次に、社外取締役として選任することが提案されている橘川氏については、以下申し上げる理由から、社外取締役として不適格であることは明らかです。
まず、橘川氏は、経済産業省の総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会の分科会長を務めており、石油業界全体に公平な立場であることが求められるところ、出光興産の社外取締役として、会社に善管注意義務を負って業務を行うことができる立場にあるとは考えられません。
橘川氏は過去に、出光興産と昭和シェル石油との経営統合について、昭和シェル石油の太陽電池事業とのシナジーがあることを利点として挙げています。しかし、既に報道されているように、昭和シェル石油の太陽電池事業は全く軌道に乗っていないものであり、これとのシナジーがあると評価する者に出光興産の経営を委ねるのは極めて危険です。
また、橘川氏は、出光興産がサウジアラムコとつながることも経営統合の利点としてあげていますが、そもそも、このことが出光興産の競争力の源泉ともいえる創業理念を失わせることにつながるものであることを全く理解していません。また、「減産が始まる時期などの重要情報が入手できるようになり」との橘川氏の考えも、自社だけが都合がよければよいという考えが、創業以来、常に日本の石油業界全体の利益を考えてきた出光興産の理念に合致しませんし、サウジアラムコに依存しようとする姿勢は独立自治の考え方に反するものであり、出光興産の取締役としてふさわしくありません。
結局、橘川氏は、社外取締役として適格のある有識者として選任が提案されているものではなく、経営統合を進めていきたい現経営陣に都合がいい意見を述べる者であるために候補者とされたものであると断じざるを得ません。

今後の対応

以上、5名の取締役候補者の選任に反対する理由を説明させていただきましたが、創業家側から、取締役の選任議案を提出することはないということもあわせて申し上げておきます。5名の取締役の選任議案が否決された後、会社側から新たに候補者の提案があれば、再度、適切か否かを検討する予定です。
5名の取締役候補者の選任が否決されることを目指して、他の株主に対しても、創業家側の考えに賛同して頂けるように呼びかける予定です。
また、販売店の皆様に対しても、創業家側の考えをお伝えすべく、本日ここで説明した事項と同様の事項を記載した書状を送っており、ご理解を頂けるように努めて参りたいと考えております。